公明党さいたま市議会議員団の齊藤健一でございます。
私は、公明党さいたま市議会議員団を代表いたしまして、議案第17号「令和2年度さいたま市一般会計予算」並びに令和2年度予算関連議案に賛成の立場で討論をさせていただきます。
令和2年度一般会計予算は、2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた更なる成長・発展予算として、前年度比1.1%増の5627億円で、5年連続の過去最高予算額と更新になりました。
歳入予算の市税では、本市の人口増加等に伴う納税義務者の増加や、都市開発等の新増築の増加が見込まれるものの、税制改正による法人市民税の税率引下げにより、前年度比マイナス4億円1.0%減の2719億円であり、2012年に減少して以来、8年ぶりの減収となっております。
一方譲与税・交付金は、消費税の税率引上げに伴う地方消費税交付金の増加や、法人市民税の税率引下げに伴う法人事業税交付金の創設等により、プラス7.5%の30億円増となっています。市の借金に当たる市債は前年度比マイナス33億円6.1%減の510億円であり、3年連続減少となり市債依存度は前年度より0.7%減の9.1%となっています。
歳入全体としては、税制改正により市税収入が微減するものの、交付金等の増により、全体として59億円増となりました。
一般会計歳出も施設整備の進捗等により、普通建設事業費は減となるものの、社会保障関係経費(扶助費等)の増により、全体としては増となり、収支不足を補う(おぎなう)ための財政調整基金繰入金は前年度から21億円増となりました。
令和2年度一般会計予算の特徴は、総合振興計画後期実施計画の最終年度として総仕上げを行い、2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた更なる成長・発展につなげるため、東京2020大会の本市開催を好機と捉えて更なる成長を図る予算、令和元年台風第19号による災害を教訓として防災・減災対策を一層強化する予算、Society 5.0の時代に対応した「スマートシティ」の取組を加速化する予算として、一定の評価をいたします。
以下、令和2年度の予算編成について、何点か意見を申し上げます。
総合政策委員会関係について、急速に進行する少子高齢化や、やがて本市にも到来する人口減少、さらには公共施設の老朽化など、本市の行政運営を取り巻く環境はより厳しさを増しているなか、その変化に的確に対応するため、市民満足度の目標年度でもありますCS90に対しては全庁挙げて執念を持って取り組んで行くこと、またSDGs未来都市に選定された本市として、関係する企業・団体だけが活動している事業にならないように、まずは全市民の認知度を高めるような普及啓発活動に取り組んで行くことを期待します。
防災・減災対策の取り組みにつきましては、公式ホームページにCDNの運用で災害時等における市ホームページのアクセス環境の強化いたします。また市民が日頃から備え、災害の状況に応じた適切な行動がとれるようにするため、我が会派が要望して参りました女性の視点を取り入れた新防災ガイドブックが出来上がり、今までよりも読みやすく、分かりやすくなって全戸配布いたします。また携帯電話を所有しておらず、避難勧告など防災情報の入手が困難な高齢者等へ、電話・FAXにより情報を配信するサービスを導入いたします。また埼玉県管理河川の浸水想定区域の見直しに伴い、新たな洪水ハザードマップを作成いたします。これらは自助・共助の対策強化につながり評価いたします。
産業・経済に関する事業では、東日本の交流拠点都市実現のためのプラット フォーム「まるまるひがしにほん(東日本連携センター)」を活用し、東日本各地のシティプロモーションや商談会等の実績を上げること。また岩槻の歴史・文化の発信、産業と観光の振興に寄与する地域活性化拠点「にぎわい交流館いわつき」の運営実績を上げていく取り組みに期待をいたします。
文教委員会関連について、いじめ防止等対策推進では、いじめや問題行動に適切・迅速に対応するため、(仮称)さいたま市スクールロイヤーチーム等の専門家を活用して学校支援を行って参りますが、このチームは学校側の一方支援にならないように、いじめられている子ども側の支援も含む公平性を保って進めていくことを確認しました。また教育相談推進では、全ての市立学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置・派遣するとともに、電話やSNSを活用した相談窓口を実施いたします。特に子ども達が身近で相談しやすいツールとしてSNS相談窓口は、年間通じて相談できるように更なる窓口強化を期待いたします。
また学校トイレ洋式化推進では、児童生徒の健康面や良好な学習環境維持のため、小・中学校の洋式トイレについて整備計画を前倒しして実施されることは評価いたしますが、学校別にみるとトイレの洋式化率に隔たり(へだたり)が見られます。整備計画では、この洋式化率の均等化が図れることも期待いたします。
市民生活委員会関係につきまして、住み良い豊かな地域社会の形成に資することを目的として、自治会及び自治会連合会の運営に要する経費の一部を補助するとともに、自治会の情報発信の強化を図るため、新たに、さいたま市自治会連合会のホームページ作成の支援を行っていくことは評価いたしますが、ホームページ作成支援では自治会に入るメリットと、地域社会は行政と自治会が2人3脚で作っていることが分かりやすいホームページの作成支援を希望いたします。
また東京2020大会の会場最寄り駅周辺区域等における環境美化を推進するため、環境美化重点区域及び路上喫煙禁止区域を7駅から12駅に拡大するとともに、市民団体参加による清掃を実施することは評価いたしますが、市街地でマナーを守らない吸い殻などのポイ捨て防止についても、対策強化するように要望いたします。
保健福祉委員会関係につきまして、福祉の複合的な課題を抱える市民に対応するため、試験的に浦和区において相談支援包括化推進員を配置し、(仮称)福祉丸ごと相談センターを創設いたしますが、待ち受け型の相談窓口にならないように、区役所内で悩んでいる方を見かけたら積極的にお声を掛ける福祉コンシェルジュのような、市民に寄り添った行政サービスとして今後10区に設置できることを期待いたします。
障がい児(者)を介助する家族の負担の軽減を図るため、レスパイトケア事業(短期入所及び日中一時支援)の対象者を超重症心身障害児から重症心身障害児に拡大いたします。また我が会派が予算要望しました、保護者の経済的負担の軽減と聴覚障害の早期発見・早期療育を図るため、医療機関において実施する新生児聴覚検査の受診に要した費用の一部に対して、新たに助成を行います。同じく予算要望しました出産後間もない時期の産婦等を支援するため、産婦健康診査を実施するとともに、既存の訪問型に加えて、新たに宿泊型・デイサービス(日帰り)型産後ケア事業を開始いたします。これらは我が会派が主張してきたことが予算化され、「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指す本市の子育て支援策として高く評価いたします。
また我が会派が強く要望して参りました、放課後児童クラブにおける待機児童の解消については、児童の受入規模を拡大するとともに、人材の確保及び質の向上を図るため、民設放課後児童クラブの支援員の処遇改善を実施していく予算が増額されたことは評価いたしますが、実施内容が国の処遇改善と差が無いように、国の上を行く処遇改善を期待いたします。
まちづくり委員会関係につきましては、子どもにとって安全で楽しい遊び場を確保するため、公園遊具について安全性の向上を図る修繕や更新等の対策を実施することは、使用中止の遊具のある公園が無くなり、遊具で遊ぶ元気な子どもの姿・声が戻って来ることを願って評価いたします。また既存の街区公園の改修や公園施設の設置を行う場合は、我が会派が要望しました防災機能を付加した施設を設置して、防災機能を強化していくことも評価いたしますが、防災拠点となる公園は、高齢者や障がい者を含む大勢の方が利用される公園として、バリアフリー化の推進も希望いたします。
また地震の際の人的被害の防止と避難経路の確保のため、危険なブロック塀等の除却等に係る費用の一部の助成を実施するとともに、新たに民間の危険なブロック塀等の調査を実施し、計画的に対策を推進することは評価いたしますが、特に通学路上のブロック塀の除去推進に期待いたします。
また浸水被害の軽減を目的とした雨水貯留施設及び雨水管の整備を推進するとともに、新たに浸水シミュレーションを活用した内水ハザードマップを作成することは評価いたしますが、特に浸水想定区域の皆様には丁寧な内水ハザードマップの配布で、事前に浸水被害の備えがしっかり出来るようになり、軽減が図れることを期待いたします。
以上、何点かの課題と御指摘を申し上げさせていただきました。これら我が会派の要望する中で、予算化あるいは施策化に至らなかった内容については、継続的に検討していただくことを期待いたします。
本日は3月11日東日本大震災から9年目を迎えます。この間、インフラ等の復興は進みましたが、いまだ約4万8000人が避難生活を余儀なくされています。今日は3.11犠牲者と避難生活を送る被災者を思う1日として、我が公明党は東日本大震災の被災地の経験と知見を最大限に生かし、「防災・減災・復興」を政治に主流にせねばならないと決意しています。
そして、現在災害と言っても過言ではない新型コロナウイルスの感染拡大が日本全土を襲い、本日開催予定でありました各地の追悼行事が中止や縮小になってしまいました。本市も感染防止に全力で取り組んでおりますが、令和2年度の予算編成作成時は、今のような新型コロナウイルスの感染拡大は予想していなかったと思います。この度の感染症を含む災害と言うものは、いつどのような形で襲ってくるか、事前に知ることが出来ません。しかし、災害のような困難が起きた時に、市民の命と生活と財産を守ることが政治の使命と考えます。今後、新型コロナウイルスの感染だけでなく社会的影響が拡大する場合は、市民の命と生活と財産を守るため、予算を伴う政策判断も躊躇することなく断行して、この困難を乗り越えて参りたいと思います。
市民の皆様と困難を乗り越える中、令和2年度予算編成で作られた事業を意欲的に取り組むことで、困難に負けない、強いさいたま市として成長・発展していけると申し上げて、私の討論といたします。