保健福祉委員会の議案外質問 令和7年9月16日

質問要旨
1,予防医療の推進について
(1) 健康検診の受診率向上について
(2) 健康診断からのQOL向上プログラムへの誘導
(3) 小児インフルエンザワクチン接種の助成制度の創設
(4) 睡眠障害の専用相談窓口と専門外来の設置

2,認知症支援について
(1) 認知症チェックリストの活用
(2) 認知症事故救済制度の創設

3,地域包括支援センターの負担軽減について
(1) ブランチ型総合相談窓口(分室)の設置
(2) 予防プラン作成の助成金について

4,高齢者・障害者施設職員の人材確保について
(1) 家賃補助制度の創設
(2) 法定研修の受講料の補助について

5,集合狂犬病予防注射手数料徴収業務について
(1) キャッシュレス決済の導入

1,予防医療の推進について
(1) 健康検診の受診率向上について
(2) 健康診断からのQOL向上プログラムへの誘導
(3) 小児インフルエンザワクチン接種の助成制度の創設
(4) 睡眠障害の専用相談窓口と専門外来の設置

○斉藤健一委員 1の予防医療の推進について(1)健康健診の受診率向上について。
市民の健康増進を図る上で、特定健康診査の受診率向上は喫緊の課題です。しかし、働き盛り世代や子育て世代、高齢者世代では「忙しい」「制度が分かりにくい」「医療機関が遠い」「費用がかかる」「自覚症状がない」など、様々な理由から受診をためらう傾向が見られます。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により受診控えが広がり、未受診者が増加し、生活習慣病やがんの早期発見・治療の機会を逃すリスクが高まっています。これが重症化や医療費の増大につながることも懸念されます。
特に「自覚症状がない」「健康に自信がある」と考えている方への受診勧奨策として、健診を受けてその判定が「異常なし」「支障なし」と診断された方に報奨金やポイントなどのインセンティブを付与する制度の導入を提案します。
この施策は受診意欲の向上だけでなく、健康維持への積極的な取り組みを評価する意味でも大きな効果が期待できると考えます。
インセンティブ制度の導入により、市民の健康意識が高まり、生活習慣病やがんの早期発見・重症化防止、さらには医療費の抑制につながると考えます。
つきましては、今までの受診率向上の取り組み内容と成果と評価を伺い、今私が提案しました新しい視点での受診率向上の目的だけではなく、市民が前向きに健康づくりに取り組めるインセンティブ制度の導入について、市の見解を伺います。

○生活福祉部長 1、予防医療の推進についての(1)健康健診の受診率向上についてのうち、取組の内容・成果・評価についてお答えいたします。特定健診の受診率向上の取組の内容につきましては、未受診の方への対策といたしまして、文書ですとか、あとSMS、ショートメッセージサービスの配信による勧奨を行っていますほか、周知・啓発として、PRポスターの掲示、懸垂幕の掲出、自治会回覧、PR動画の放映などを行っております。 成果と評価につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかった令和2年度ですけれども、それ以降につきましては、毎年受診率が向上しております。受診率向上の取組の成果が出ているものと評価しておりますが、コロナ禍前の状況には回復し切れていないことが課題であると考えております。

○保健部長 御提案に関しての見解というのを私の方から答弁させていただきます。
特定健康診査につきましては、やはり今、委員が御指摘のとおり、住民の健康保持増進に資するものであるというふうに認識してございます。 こちらの方、特定健診の実施につきましては、医療保険者に義務づけられておりまして、今、国保は、こういった形で御答弁いただきましたけれども、各保険者において、そういった受診率向上に向けた様々な取組が進められているところと認識してございます。 委員御提案の受診結果が異常なしであった方へのインセンティブ付与につきましては、厚生労働省が作成いたしましたガイドラインにおいて、個人の疾病リスクといった属性を評価するものではなく、本人の積極的な取組を重視して評価することや、報奨の金銭的な価値が高過ぎる場合には、インセンティブを得ること自体が目的化してしまうため、留意が必要というふうに示されてございます。 このため、やはり健診受診行動や運動の継続など、そういう継続ですね、そういったものに重きを置きまして、予防、健康づくりへの積極的な取組などのインセンティブ付与が重要であるというふうな認識でございます。これらのことから、健診結果そのものに対するインセンティブ付与につきましては、慎重に対応すべきものと考えてございます。

○斉藤健一委員 受診率がまだまだ30%台で、全体の7割近くの方が受けておられないという、国保の方ですね。まずは、私の提案したことだけではなく、ありとあらゆる方策を使って受診率向上に取り組んでいただきたいと思います。次に移ります。(2)健康診断からのQOL向上のプログラムへの誘導について。
特定健康診査の結果において、生活習慣病のリスクがあると判定された人が、誰一人取り残されることなく、健康増進及びQOL向上プログラムへ確実に誘導され、プログラムの実行と改善効果を出すことによって、健康の喜びを感じることが大事であると考えます。
さいたま市では特定健康診査の結果にもとづき、生活習慣病の改善や医療の必要性などを段階に分けて判定し、それぞれに合わせた支援を行って頂いております。そこで、どのような支援を行っているのかと、その改善効果について伺います。
また、指導内容を実践しているが、改善効果が見られない方へのフォローアップについても伺います。

○生活福祉部長 (2)健康診断からのQOL向上プログラムへの誘導についてお答えいたします。
特定健康診査、特定保健指導は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づきまして、生活習慣病の予防を目的とした国のプログラムでございます。健診後、結果に応じて、異常なし、特定保健指導、要医療に分類し、それぞれに適した保健指導や受診勧奨を実施しています。
本市では、生活習慣改善が中程度の方につきましては医療機関での特定保健指導を、より改善が必要な方には、区役所保健センターで保健師や栄養士による3か月の支援を行っております。また、要医療と判断された方には、糖尿病や高血圧症等の重症化を予防するため、医療機関への受診勧奨や保健指導を実施しております。
令和5年度ですけれども、特定保健指導受講後の翌年度健診で約50%の方が異常なしとなり、要医療で受診勧奨した方の33.2%が正常血圧になるなど効果が見られました。
なお、指導を受けても改善が見られない方につきましては、健康相談や健康教育で継続的なフォローをしております。今後も、きめ細やかなフォローで生活習慣病の予防に努めてまいります。

○斉藤健一委員 再質問します。健診や保健指導の対象でありながら、何らかの理由でプログラムを受けていない方へのアプローチ方法について、現状の課題や今後の対策があれば伺いたいと思います。

○生活福祉部長 再質問にお答えいたします。健診や保健指導の対象でありながら、何らかの理由でプログラムを受けていない方へは、文書や電話で御連絡しまして、保健指導についての説明をしまして、指導への勧奨を行っております。
課題と対策ですけれども、忙しいあるいは必要性を感じないなどの理由で、指導の実施率が伸びないことが課題となっております。忙しい人の理由の方につきましては、オンラインですとか、アプリなどのICTを利用した利便性の高い保健指導を行っていきます。

○斉藤健一委員 大変だと思いますけれども、ぜひ一人も残すことなく、健康増進への取組をお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。(3)小児インフルエンザワクチン助成制度の創設について。毎年流行するインフルエンザは、子どもたちの健康を脅かすだけでなく、家庭や学校、地域社会全体に大きな影響を及ぼしております。そこで本日は、小児インフルエンザワクチン接種への助成制度の創設について質問いたします。
さいたま市が毎週公表している「感染症発生動向調査 週報」によりますと、昨シーズンは本市で感染者数のピークであった12月の最終週には、1つの定点医療機関で平均して、1週間で49人ものの方がインフルエンザと診断されました。例年は1月の中旬から下旬にかけて感染者数のピークであることを考えると、昨年は例年より1ヶ月も早くピークに到達しており、流行の速度がここ10年で最速、異例のスピードであったことが伺えます。
このような状況下において、子どもたちのインフルエンザ感染を未然に防ぎ、重症化や集団感染を抑制するためには、ワクチン接種の普及が不可欠です。しかし、接種費用が家庭の経済的負担となっていることから、接種率の向上には行政の支援が必要です。
また、近年では従来の注射タイプに加え、点鼻タイプの経鼻ワクチンも登場しており、予防接種が苦手な子どもでも安全かつ簡便に接種できる選択肢が広がっています。これら両タイプを助成の対象とすることで、より多くの子どもたちへの接種機会の提供が可能となります。つきましては、本市において小児インフルエンザワクチン注射タイプ及び点鼻タイプの両方への接種費用助成制度を創設し、子どもたちの健康を守るための積極的な取り組みを進めていただきたいと考えます。市の見解と今後の対応方針について伺います。

○保健部長 (3)小児インフルエンザワクチン接種の助成制度の創設についてお答えをさせていただきます。
インフルエンザワクチンは、かつて小中学生を対象に法定の定期予防接種が行われておりましたけれども、平成6年の予防接種法の改正の際、当時の国の公衆衛生審議会による検討の結果、小児のインフルエンザワクチンは、ワクチンの接種によって社会全体の流行を阻止し得ることを積極的に肯定する研究データが十分に存在しないという結論となり、法改正により定期予防接種の対象から除かれ、その後は国において新たな検討が行われてこなかったという経緯がございます。このため、本市においても、現在、公費による小児インフルエンザワクチンの定期予防接種を実施していないというのが現状でございます。
一方、令和5年3月、小児向けの点鼻型の、これ今、委員が御指摘をされました点鼻型インフルエンザワクチンが国で薬事承認されてございます。そうしたことを踏まえて、翌年の国の厚生科学審議会において、小児のインフルエンザワクチンが、定期予防接種化を検討しているワクチンの一つとして再度位置づけられてございまして、有効性、安全性について現行の不活化ワクチンと大きく変わりはないとされたものの、国において引き続き科学的知見を収集している段階であると承知してございます。本市におきましても、引き続き国の議論の動向を注視してまいりたいというふうに考えてございます。

○斉藤健一委員 小児インフルエンザワクチンは、子育て支援として、こどもまんなか支援をうたっている本市においても、施策につながる制度だと思いますので、ぜひ今後も検討をお願いしたいと思います。
次に移ります。(4)睡眠障害の専門相談窓口と専門外来の設置について。日本人の平均睡眠時間はOECDの調査で、平日の平均睡眠時間は約7時間程度であるのに対し、欧米諸国は8時間前後と、1時間ほど短いことが報告されています。
また日本では、仕事や家庭のストレス、長時間労働、不規則な生活習慣などを背景に、睡眠時間が十分に確保できず、日中の集中力低下や体調不良、うつ症状の発症にもつながり、睡眠障害は市民の健康や生活の質に大きな影響を及ぼしております。
厚生労働省の調査によれば、日本人の約2割が何らかの睡眠問題を抱えており、さいたま市でも多くの市民が「どこに相談すればよいかわからない」「専門的な治療を受けたくても受け皿がない」といった声をお聞きします。現状では、一般的な健康相談窓口や医療機関は存在しますが、睡眠障害に特化した相談窓口や専門外来は一般市民には分かりづらく、早期の相談や専門治療へのアクセスが十分とは言えません。
睡眠に不安を感じる市民が、身近で気軽に相談できる睡眠障害専用の電話相談や、睡眠障害を明記した相談窓口を区役所内に設置と、現在厚労省では「睡眠障害」を診療科名に追加検討されていますが、医療が必要な方が適切に専門医の診断・治療を受けられるよう、市立病院に専門外来の設置を要望いたします。これにより、早期発見・早期治療が促進され、結果として市民の健康増進と生活の質向上につながるものと考えますが、市の見解を伺います。

○保健部長 委員御指摘のとおり、一般的な心の相談ですか、そういったものは各区役所とか、あとこころの健康センターとか保健所、あと各区保健センター、こちらの方でお受けはしてございます。その相談の中で、やはり眠れないなどの睡眠に関する内容もお受けしておりまして、その際には、受診可能な医療機関を紹介するなど必要な対応を行っているところでございます。 そのため、専門窓口を設けなくとも、既存の窓口での対応で対応可能というふうに考えてございますけれども、やはり今、御指摘いただいたように、どこに行ったらいいか分からないというような御意見もございますことから、我々としては、睡眠についてお悩みの方が、既存の相談窓口につながれるような周知方法について工夫をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○市立病院病院経営部長 (4)のうち市立病院への専門外来の設置についてお答えいたします。 さいたま市立病院は、急性期医療を中心に高度な医療を提供する地域の基幹病院として、地域の医療機関での治療が困難な患者さんを受け入れ、医療を提供し、症状の安定した患者さんを地域の医療機関へお戻しする役割を担っております。
睡眠障害でお悩みの方につきましては、まずは地域の医療機関を受診していただき、さらに精緻な検査や治療が必要となった場合に、当院へ紹介状をお持ちいただき、呼吸器や循環器などの専門の診療科へ受診していただくこととなります。このようなことから、現時点では、当院の性質上、睡眠障害を専門とする外来の設置について検討しておりませんが、委員の御指摘を踏まえ、今後社会情勢等を注視してまいります。


2,認知症支援について
(1) 認知症チェックリストの活用
(2) 認知症事故救済制度の創設

○斉藤健一委員 どこに相談したらいいかということで、ホームページで睡眠障害と検索したときに、すぐ、ここに行ってくださいと出るように変更をぜひお願いしたいと思います。また今、厚労省で診療科名を検討していますので、これが正式決定したら、ぜひ市立病院でも前向きに検討をお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。2の認知症支援について(1)認知症チェックリストの活用について。さいたま市における急速な高齢化に伴い、認知症の早期発見と適切な支援体制の強化は喫緊の課題です。認知症チェックリストをより積極的かつ効果的に活用し、認知症の方やご家族への支援を一層強化するための方策が求められます。
現状として、本市では認知症チェックリストが一部の医療機関や地域包括支援センター等で配布・活用されていますが、地域全体への周知や実際の利用率は十分とは言えません。そのため、認知症の早期発見が遅れ、必要な支援に結びつくまで時間を要する場合があります。
まず、地域包括支援センター、医療機関、介護事業者が連携し、認知症チェックリストを活用した定期的な高齢者向け健康相談会を開催することで、早期発見と支援への円滑な移行を図るべきです。また、市内の高齢者世帯へ認知症チェックリストを全戸配布し、セルフチェックの環境を整備するとともに、デジタル版チェックリストを開発し、若年層や家族にも利用を促進することが重要です。
さらに、市職員や関係機関向けにチェックリストの意義や活用方法に関する研修を定期的に実施し、チェックリスト活用後の相談窓口を電話やオンラインで拡充し、広報活動を通じて周知する体制の整備を図ることにより、認知症の早期発見と適切な支援体制の構築が一層推進されると考えますが、本市の今までの認知症チェックリストの活用方法と今後の展開を伺います。

○長寿応援部長 2の認知症支援について(1)認知症チェックリストの活用についてお答えいたします。
本市では、認知症の早期の気づきを促し、もの忘れ検診をはじめとした医療機関の受診につながることを目的として、認知症チェックリストを作成しております。
はじめに、今までの活用方法でございますが、チェックリストは、認知症の進行状況に応じて利用できるサービスや相談窓口をまとめた認知症ガイドブックに掲載し、地域包括センターや区高齢介護課における相談支援の場において活用しております。
また、こうした相談機関に向けては、専門職を対象とした研修等を開催するなど、チェックリストの活用をはじめとした認知症の早期発見や対応事例を学習する機会を設けております。
さらに、地域住民に向けた取組としては、市ホームページへの掲載のほか、認知症サポーター養成講座や地域の高齢者が集う通いの場において、チェックリストを用いた早期発見の重要性などを啓発しております。
次に、チェックリストの今後の展開方法でございますが、チェックリストを活用した定期的な自己診断については、本市が目指すもの忘れ検診の受診率向上に向けても重要な観点と認識しております。そのため、来年度からもの忘れ検診のチラシにおいてチェックリストを新たに掲載するほか、早期受診のメリットをより強調したチラシの内容とするなど、見直しを図る予定としております。
なお、もの忘れ検診のチラシの配布先には公共施設やチームオレンジ登録企業、自治会などがございますが、介護保険料納入通知書にも同封し、個別郵送していることから、このチラシの見直しにより、65歳以上の高齢者30万人強のお手元に直接チェックリストが届くようになるものと考えております。
引き続き、委員お示しの取組も参考にさせていただきながら、認知症の早期発見、支援につながるよう、チェックリストの効果的な周知、活用を進めてまいります。

○斉藤健一委員 さらなる有効活用をお願いします。次の質問、(2)認知症事故救済制度の創設について。
認知症の方が関与する思わぬ事故やトラブルが発生した場合、当事者やご家族が多大な精神的・経済的負担を抱える現状がございます。特に、事故による損害賠償責任は、ご家族にとって大きな不安材料となっており、安心して地域で生活し続けるための制度整備が求められます。
例えば神戸市の認知症事故救済制度は、認知症の方が徘徊等による事故で第三者に損害を与えた場合、ご家族等が負う損害賠償責任を軽減することを目的としています。具体的には、市が民間の損害賠償保険に加入し、認知症の方やその家族が事故発生時に保険金の支払いを受けられる仕組みです。対象となるのは市内在住の認知症の方とその家族で、費用負担も市が全額または一部を補助します。これにより、ご家族の精神的・経済的負担を和らげるとともに、事故発生後の迅速な対応が可能となっています。このような制度は、当事者やご家族の安心につながるだけでなく、地域全体で認知症の方を支える体制づくりにも寄与していると認識しています。
本市においても今後、認知症の方の増加が見込まれる中、同様の事故やトラブルへの備えがますます重要になります。ご家族による見守りや介護には限界があり、市として支援制度を設けることで、住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりが可能となります。
本市においても、事故発生時の損害賠償責任を軽減する市独自の救済制度を創設し、認知症の方とそのご家族を支援する取り組みを推進すべきと考えますが、市の見解を伺います。

○長寿応援部長 (2)認知症事故救済制度の創設についてお答えをいたします。現在、本市では、広く市民や企業などに認知症の人への理解や支援を広げていくさいたま市チームオレンジの取組を推進するとともに、この取組の推進主体としてさいたま市認知症フレンドリーまちづくりセンターを昨年、令和6年7月に本市独自で開設いたしました。このほか、行方不明となった高齢者の方の発見、支援要請を協力課に行う徘回見守りSOSネットワーク事業なども実施をしており、こうした取組を総合的に進めていくことが、町なかにおける事故防止の観点も含め、認知症の方が自分らしく安心して暮らせる社会環境の創出を実現できるものと考えております。
委員御提案の事故救済制度の導入につきましては、万が一の場合の安心感につながるという声もございますが、他方で財政負担の問題や政策効果の検証といった課題があるものと認識しております。 現時点では、本市で新たな救済制度を導入することは難しいものと考えておりますが、昨年度、本市も含め構成される大都市介護保険担当課長会議における国への介護保険制度運営に関する要望書の中で、国による事故救済の制度化について要望事項に含めたところです。
引き続き当該制度については、国の動向や他自治体の導入状況、民間の保険会社による保険商品の開発や普及状況なども注視しつつ、研究してまいりたいと考えております。


3,地域包括支援センターの負担軽減について
(1) ブランチ型総合相談窓口(分室)の設置
(2) 予防プラン作成の助成金について

○斉藤健一委員 3の地域包括支援センターの負担軽減について(1)ブランチ型総合相談窓口(分室)の設置について、さいたま市シニアサポートセンターの業務負担軽減と、より質の高い支援体制構築について質問いたします。
現在、シニアサポートセンターには介護、医療、生活支援、権利擁護、孤立防止など、多岐にわたる相談が市内外から寄せられております。相談件数は年々増加しており、職員の皆様は高い専門性と献身的な対応で支援を続けておられますが、慢性的な業務負担が増大し、特に遠方の利用者やご家族からの相談が一極集中することで、対応に多くの時間やリソースがかかっている状況です。このままでは個々の相談へのきめ細やかな支援や迅速な対応が難しくなり、職員の負担軽減策が早急に求められております。
他都市の先進事例として、大阪市や名古屋市では、広域都市におけるブランチ型総合相談窓口や分室の導入により、本部機能を維持しつつ地域分室を設置し、相談対応の分散化と職員の負担軽減、市民サービスの向上を図っています。ブランチ型では地域ごとの特性や課題に寄り添った柔軟な対応が可能となり、高齢者やご家族にとってもアクセスしやすい体制が整っています。
そこで、さいたま市においても大阪市や名古屋市の事例を参考に、市内主要エリアにブランチ型総合相談窓口を可能なところから段階的に設置していってはと考えます。これにより、センター職員の業務負担の分散・軽減、市民へのより迅速かつ丁寧な対応の実現が期待できます。
本市のシニアサポートセンターにおけるシャドーワークを含む業務量増大の負担軽減をどのように図ろうとしているのかお聞きし、ブランチ型総合相談窓口の設置についての見解を伺います。

○長寿応援部長 3の(1)ブランチ型総合相談窓口の設置についてお答えいたします。
委員お示しの大阪市や名古屋市の事例については、地域包括支援センターが居宅介護支援事業所と直接業務委託契約を締結し、地域包括支援センターにつなぐためのブランチ型総合相談窓口を設置しているものと認識しております。
本市では、在宅介護支援センターをシニアサポートセンター、地域包括支援センターのブランチとして位置づけており、総合相談窓口機能の一部を担うほか、地域の高齢者等の見守り活動や地域包括支援センターが主催する介護者サロンの開催なども連携し、実施しております。
なお、国においても地域包括支援センターの業務負担軽減について検討が進められており、令和5年度の法改正により、地域包括支援センターが居宅介護支援事業所等へ総合相談支援事業の一部を委託できるようになるなど、業務負担軽減を図るための見直しが行われております。
ブランチ型の総合相談窓口の設置については、引き続き、これらの制度の活用なども念頭に、本市の地域包括支援センターの意向や他の政令指定都市の状況などの把握に努めながら、地域包括支援センターの業務負担軽減を図るため、その有効性も含めて調査、研究してまいります。

○斉藤健一委員 さいたま市は居宅介護支援事業者に委託をしていると言っておりますけれども、受託数が多くないとも聞いています。そこで関連する質問として(2)予防プラン作成の助成金について。
現在、シニアサポートセンターは地域高齢者の生活支援や介護予防において重要な役割を担っております。しかしながら、予防プランと介護プランの報酬単価の差が大きいことから、居宅介護支援事業所による予防プランの受託が進んでいないのが現状です。その結果センターの業務量が増大し、支援が必要な高齢者への適切なサービス提供が滞ることが懸念されております。
さいたま市では、すでに「委託連携加算」という助成制度が設けられており、予防プランの受託促進を図るための一定の支援が行われています。しかし現状では、予防プランの受託を敬遠する事業所が多く、居宅介護支援事業所での受託件数が伸び悩んでいます。これによりセンターの業務負担が増加し、高齢者の自立支援や介護予防の取り組みが十分に広がらず、地域包括ケアシステムの推進に懸念が生じています。
こうした課題を解決するためには、予防プラン作成に対して介護プランと同等の報酬環境を整備し、事業所の受託意欲を高めることが必要不可欠です。そこで、さいたま市独自の助成金制度を新設し、予防プラン作成に対して追加的な報酬を支給することで、介護プランとの報酬単価の差を実質的に縮め、事業所の負担を軽減し、受託しやすい環境を整備すべきと考えます。
市として、今後どのように予防プランの受託を促進して、センターの負担軽減を図ろうとしているのか、現行の「委託連携加算」を含めた予防プラン助成制度について、市の見解を伺います。

○長寿応援部長 (2)予防プラン作成の助成金についてお答えいたします。
委員御指摘のとおり、介護予防支援等においては、業務内容に対する報酬が少なく、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所へ委託しにくくなっているという課題は認識しております。
介護保険制度における介護予防支援等における報酬については、1件当たり4,884円となっております。なお、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所へ初回に委託した際には委託連携加算があり、その場合の報酬額は8,199円となります。
一方、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所へ委託した場合、その報酬から手数料が差し引かれるため、初回の場合は7,285円、2回目以降の場合4,104円が居宅介護支援事業所に支払われることとなります。
これに対し、要介護者の居宅介護支援に係る報酬は、1件当たり1万2,000円から1万5,591円となっており、報酬面で格差が大きい状況でございます。
現在、地域包括支援センターで受け付けている介護予防支援等の件数は、年間11万7,000件ほどで、そのうち約56.7%が居宅介護支援事業所へ委託されております。
御説明した介護予防支援等における報酬を居宅介護支援と同等の報酬とした場合、1件当たり4,000円から7,000円の増額となり、市の事業として補塡した場合、多額の費用となることから、市独自の助成ではなく、介護報酬本体で費用を上げていくべきと考えており、令和6年度大都市介護保険課長会議において、介護予防支援等における報酬を要介護1程度の報酬まで引き上げるよう国に要望したところです。 引き続き、この費用、報酬に関しましては、国の動向も注視し対応してまいりたいと存じます。


4,高齢者・障害者施設職員の人材確保について
(1) 家賃補助制度の創設
(2) 法定研修の受講料の補助について

○斉藤健一委員 ぜひ引き続きの検討をお願いして、次の質問に移ります。 4の高齢者・障害者施設職員の人材確保について(1)家賃補助制度の創設について、市内の高齢者施設および障害者施設に従事する職員の人材確保と処遇改善を図るため、家賃補助制度の創設についてご質問いたします。
高齢化の進展や障害者福祉ニーズの多様化に伴い、現場を支える職員の確保は喫緊の課題です。しかし、現状では、施設職員の賃金は全産業平均を下回っており、特に都市部では住宅費の高騰が若年層を中心とした人材確保を一層困難にしています。さいたま市でも、家賃などの固定費の負担の重さが離職や人材流出、就業希望者の減少につながっており、「生活が苦しい」「続けたくても経済的に難しい」といった現場の声が多く寄せられています。こうした人手不足は、施設サービスの質や安全性にも悪影響を及ぼす懸念があります。
そこで要望いたしますのは、さいたま市が保育士に対して実施している「宿舎借り上げ支援事業」と同等の家賃補助制度を、高齢者施設および障害者施設の職員にも拡充・適用であります。保育士への宿舎借り上げ支援は、人材確保や定着に大きな効果を上げております。福祉現場の職員にも同様の制度を適用することによって、経済的な負担軽減と職員の安定的な確保が期待でき、地域福祉サービスの質の向上にもつながるものと考えます。高齢者施設および障害者施設職員への家賃補助制度の創設・拡充について、市の見解を伺います。

○長寿応援部長 (1)家賃補助制度の創設について、介護従事者、障害者支援員分を併せてお答えいたします。
委員お示しの本市保育士宿舎借り上げ支援事業については、国及び県の補助金を活用して実施しているものになりますが、介護従事者、障害者支援員に関しては、国や県からの補助制度がございません。そのため、直ちに同様の取組を行うことは難しいと考えておりますが、介護及び障害福祉人材を確保するためには処遇改善を進めることが有効であると認識しておりますので、国の制度や他の自治体の状況を注視しながら、本市としてどのような支援ができるか、引き続き検討してまいります。

○斉藤健一委員 いずれにいたしましても、この福祉施設の慢性的な人材不足を解消するためには、処遇改善しかないと私は思っておりますので、ぜひ処遇改善に対して力強く検討をお願いしたいと思います。
次の(2)法定研修の受講料の補助について、さいたま市における高齢者施設の主任介護支援専門員および介護支援専門員、さらに障害者施設の主任相談支援専門員および相談支援専門員の皆様は、地域福祉の根幹を支える極めて重要な役割を担っております。しかしながら、これら専門職の人材確保や処遇改善については依然として大きな課題が残されており、現場の実情に即した具体的な支援策が強く求められています。
現状では、それぞれの専門員は、資格維持のために定期的な法定研修の受講が義務付けられておりますが、その受講料等の経済的負担は多くの場合、自己負担となっているのが実態です。さらに、受講料を事業者が負担しているケースもあり、これが事業運営上の大きな経営圧迫要因となっていることも見逃せません。この負担が大きいことから、現場の職員が資格更新時に受講を躊躇し、人材の流出や新たな担い手の確保が困難になること、さらには地域福祉サービスの質の低下につながるのではないかと危惧しております。
つきましては、今後の地域福祉の質の維持・向上、そして現場で働く職員の意欲向上のためにも、高齢者施設の主任介護支援専門員、介護支援専門員、障害者施設の主任相談支援専門員、相談支援専門員を対象に、更新時の法定研修受講料について補助金を交付する制度の創設について、市の見解を伺います。

○長寿応援部長 (2)法定研修の受講料の補助についてのうち、高齢者施設職員に関してお答えをいたします。
委員御指摘のとおり、介護サービス事業所では人材確保が課題であり、特に介護支援専門員の人材確保が難しいとの声を多くいただいております。そのため、本市では介護支援専門員を含めた介護職員等の処遇改善を図るとともに、実効性のある対策を早急に講じるよう、国に対して一昨年度から継続的に要望しており、今後も引き続き国に要望してまいる予定です。
委員御指摘の介護支援専門員の研修費用に対する支援につきましては、関係団体からも要望いただくなど、事業所の負担になっていると認識しておりますので、他自治体の事例も参考にしながら、本市独自の支援策について検討を進めてまいります。

○障害福祉部長 (2)法定研修の受講料の補助について、障害者施設職員分をお答えいたします。障害福祉サービス事業所における人材確保は重要な課題であり、特に相談支援専門員の不足は全国的な課題となっております。そのため、本市では国に対して報酬体系の見直しを要望しているところでございます。
委員御指摘の研修受講料の補助につきましては、人材確保や職員の定着に一定の効果があると考えておりますが、現在、本市では人材確保の取組といたしまして、市の主催による就職面談会や人材確保セミナーの開催、市ホームページによる事業所の求人情報の掲載など、事業所の支援に向けた取組を多面的に実施しております。
また、今年度の新たな取組といたしまして、既存の相談支援事業所と連携して事業所の新規開設に向けた説明会を開催し、実際に従事している相談支援専門員の方から業務内容や仕事のやりがいなどについて御紹介をする機会を設けたところでございます。今後につきましては、これらの取組の効果を踏まえ、様々な角度から本市独自の支援策について引き続き検討を進めてまいります。

○斉藤健一委員 再質問します。高齢者施設については、今後、市独自の支援を検討し、場合によっては来年度の予算要望を検討しているということでよろしいでしょうか。同じような検討は、障害者施設でもされるのか。再度、それぞれ回答をお願いいたします。

○長寿応援部長 お答えいたします。 来年度の予算化等についても含めて必要があると考えておりますので、庁内部でも検討を進めておるところです。

○障害福祉部長 障害部門につきましては、他の自治体の取組などを参考に、引き続き検討させていただくように考えております。


5,集合狂犬病予防注射手数料徴収業務について
(1) キャッシュレス決済の導入

○斉藤健一委員 若干検討のトーンが違うのかなと思いますけれども、ぜひ障害者施設の方も前向きにお願いしたいと思います。
それでは、最後の質問に移ります。 5の集合狂犬病予防注射手数料徴収業務について(1)キャッシュレス決済の導入について。
現在、集合狂犬病予防注射の手数料徴収は現金決済が主になっておりますが、現金決済の課題として、まず担当者による現金の受け渡しや集計、管理、銀行への入金作業など、多くの手間と時間がかかる点が挙げられます。特に集合注射会場では、多数の市民が一度に訪れるため、現金の取り扱いや管理が煩雑になり、ヒューマンエラーや盗難リスクも高まります。また、利用者にとっても現金の事前準備が必要で、持参を忘れると注射が受けられない、高額紙幣対応や釣銭不足などのトラブルが生じるなど、不便が多い状況です。
こうした現状を踏まえ、本年4月には試行的に2か所の会場で「さいコイン」によるキャッシュレス決済を実施したと聞いています。実施にあたっては、一定の利用が見られ、市民の利便性向上に寄与した一方で、機器の設置や操作に関する課題や、利用方法の周知不足といった課題も出たのではないかと思われます。
これらの課題を踏まえても、現代ではスマホやカード決済が当たり前で、キャッシュレス決済を導入することは業務効率化と市民サービスの向上のために不可欠であると考えます。今後は、全ての会場においてキャッシュレス決済を導入する方針で取り組むことについて、市の見解を伺います。

○保健部長 委員御指摘の集合狂犬病予防注射会場でのキャッシュレス決済につきましては、やはり御指摘のとおり、実証実験として本年度48会場中2会場で実施をしたところでございます。こちらの方はさいコインでの決済です、こちらの方を実施したところでございます。
結果といたしましては、2会場合計で415件収納したんですけれども、そのうちの24件、約6%の御利用があったところでございます。利用件数が少なかったことについては、実証実験であったことと、あと、さいコインでの決済となることから、市民アプリでのプッシュ通知のみでお知らせをしたことによるものというふうに考えてございます。
また、支払いの関係でございますけれども、課題として見えてきたものが、予防注射料金として県獣医師会の注射料金と、あと市の注射済票、交付手数料、この2種類を収納する必要がございまして、1会計で2度の決済処理を行わなければならなかったということ、あと、このことにより、現金会計よりも時間を要してしまうという課題がございました。
また、さいコイン以外でのキャッシュレス決済につきましては、キャッシュレス決済する方と、あと現金会計する方とのレジを分ける必要があるということ、あと、キャッシュレス機器は、また分けたことによる人員の確保が必要になるということ、あと、会場が公園や駐車場、あと学校など屋外で実施していることが多いため、キャッシュレス機器がオンラインで使えないというような課題が見えてきました。
今後、これらの課題を解消いたしまして、関係機関と協議を行いながら、導入できる会場を増やしていきたいというふうに考えてございます。

○斉藤健一委員 課題解決に向けて取り組んでいただきたいということを要望して、私の質問は終わりにいたします。